戦略的連携とDX 第8回「DXを測るための5つの概念」

いよいよ中小企業のDXを実証的に調べるために概念モデルを作るんですが、その前に少し準備をします。まずは取り扱う概念を以下のように定義して、測定可能な変数にします。

(1)環境変化(ENV)
先行研究に倣い、環境変化の認識をモデルに組み込みます。環境変化とは、自社に影響を与える外部経営環境の変化と定義します。ライバル、少子高齢化と人口減少、雇用環境、災害の4項目について、直近3年間の環境変化が自社に与えた影響を5スケールで測定。

(2)戦略的連携(SC)
戦略的連携とは、環境変化に適応し競争優位を実現するために外部経営資源を活用すること。これを測定するために、他者との新製品開発、地域での水平的連携、コネクテッドインダストリーズ、中小企業支援機関との課題解決、災害時の互助連携について、取組状況を5スケールで測定。

(3)組織機敏性(AGLTY)
組織機敏性とは、予期せぬ環境変化に素早く対処する組織能力です。需要、顧客、サプライチェーンといった変化の対象5項目に対して、業務や組織を素早く調整できるかどうかを5スケールで測定。

(4)ITダイナミック・ケイパビリティ(IT-DC)
IT-DCとは、環境変化に適応するためのIT活用能力です。「感知」(ITsns)、「学習」(ITlrn)、「再構成」(ITrcf)の下位概念があります。各概念を表す16種類の活動について、ITを活用している度合いを5スケールで測定。

(5)競争優位(CA)
競争優位とは、ライバルとの比較で自社が有利な位置づけにある状態と定義します。競争優位を測定するために、直近3年間の8項目について、ライバル企業と自社の位置づけを5スケールで測定します。8項目は、売上高、利益率、成長率、シェア、品質、納期、コスト競争力、顧客満足度です。