研究ノート
株式会社リアッドの研究ノートの記事一覧(19件)。
戦略的連携とDX 最終回「到達点の確認」
最終回は、本研究で到達した場所を確認するため、残された二つの課題について書きます。 一つ目は、定量分析だけでは把握できない競争優位の経路依存性を明らかにするため、定性分析が必要であることです。企業ごとに異なる歴史やビジネスシステムの独自性(…
戦略的連携とDX 第18回「戦略的連携の実践的含意」
今回の研究から得られた示唆は、中小企業が戦略的連携を進めていく際に、連携に関わる様々な活動の中でITを有効に活用することが、自社の競争優位形成を後押しするという点です。 一言で:「中小企業は連携活動でITを使うと強くなる」です。 これまで競…
戦略的連携とDX 第17回「モデルの改善」
本研究では、構造方程式モデリング(SEM)による分析結果に基づき、モデルの改善を行いました。当初のモデル「バージョン1」では、戦略的連携から競争優位への直接パスが非有意であることが判明したため、このパスをモデルから除外しました。 さらに、調…
戦略的連携とDX 第16回「IT-DCで競争優位になるか」
ITダイナミック・ケイパビリティ(IT-DC)の役割とその競争優位に及ぼす影響について解説します。 IT-DCは、企業が情報技術(IT)を活用して環境変化に柔軟かつ迅速に対応する能力を指します。具体的には、ITを用いた情報の感知、知識の学習…
戦略的連携とDX 第15回「組織機敏性を深堀り」
本研究の分析では、戦略的連携から組織機敏性を経由するパス、いわゆる「機敏性パス」による競争優位への影響が負の効果をもつ可能性が示されました。これは、戦略的連携から組織機敏性へのパス係数が負に推定されたためです。 この負の推定の背景には、連携…
戦略的連携とDX 第14回「戦略的連携で競争優位になるか」
前回までに検証した構造方程式モデリング(SEM)の結果を踏まえ、戦略的連携が中小企業の競争優位にどのような影響を及ぼすかを考察します。 まず、戦略的連携は直接的な競争優位の獲得には有意な影響を与えないものの、組織機敏性やITダイナミック・ケ…
戦略的連携とDX 第13回「仮説を検証した!」
構造方程式モデリング(SEM)を用いて、仮説の検証を行いました。SEMは複数の潜在変数間の因果関係を同時に推定できる手法であり、理論モデルの適合度や各パスの有意性を評価することが可能です。 分析の結果、まずモデル全体の適合度は良好であること…
戦略的連携とDX 第12回「研究の信頼性・妥当性」
戦略的連携や組織機敏性、ITダイナミック・ケイパビリティ(IT-DC)などの構成概念が、調査によって適切に測定されているかを確認しました。 全観測変数を用いて因子分析(最尤法、プロマックス回転)を実施しました。スクリープロットとカイザー基準…
戦略的連携とDX 第11回「データと分析」
本研究の実証分析に用いた調査データは、2019年9月20日から24日にかけて実施したインターネットアンケート調査の結果です。調査対象は日本の中小企業経営者であり、1,082者から回答を得ました。ただし、分析対象としては、企業年齢が3年以上か…
戦略的連携とDX 第10回「仮説」
これまで、戦略的連携の重要性やダイナミック・ケイパビリティ(DC)の概念、そしてこれらが相互に作用する仕組みについて解説してきました。今回からいよいよ実証に入ります。 まず、理論を検証するための仮説について説明します。これらの仮説は、これま…
戦略的連携とDX 第9回「DX概念モデル」
前回定義した変数を使って、下図の概念モデルを作成しました。バージョン1となっているのは、後に検討が進み、より精度の良いモデルが発見されるためなんですが、とりあえず当初のモデルはこうだったということです。 パスというのは、影響を与える過程を表…
戦略的連携とDX 第8回「DXを測るための5つの概念」
いよいよ中小企業のDXを実証的に調べるために概念モデルを作るんですが、その前に少し準備をします。まずは取り扱う概念を以下のように定義して、測定可能な変数にします。 (1)環境変化(ENV) 先行研究に倣い、環境変化の認識をモデルに組み込みま…
戦略的連携とDX 第7回「ITが企業パフォーマンスに与える影響」
中小企業の生産性を上げるためにITに投資しましょう、ということは随分前から言われてきました。結局のところ、企業成果に対してITは効果があるのでしょうか。これまで多くの研究がIT投資と競争優位との間に直接的な関係は見出せないという見解を示して…
戦略的連携とDX 第6回「戦略的連携ってどんな連携?」
本研究では、戦略的連携をダイナミック・ケイパビリティ(DC)の視点から定量的に分析します。以下の連携を戦略的連携として認識し、環境適応のための企業行動としてDXに寄与するかどうか検討します。 経済産業省(2017)『「Connected I…
戦略的連携とDX 第5回「つまりダイナミック・ケイパビリティって」
経営環境の変化を考慮するための理論の一つとして、ダイナミック・ケイパビリティ(DC)が議論されてきました。 DCには、顧客や技術の変化に適応するために必要となる複製困難な能力が含まれるとされています。Teece(2009 谷口他訳, 201…
戦略的連携とDX 第4回「資源ベース論のパラドックス」
ここで、ダイナミック・ケイパビリティ(Dynamic Capabilities:DC)という理論の成り立ちをさらっと見ておきます。 資源ベース理論(Resource-Based View:RBV)は、競争優位の要因が企業の内部にあるという考…
戦略的連携とDX 第3回「なぜダイナミック・ケイパビリティ?」
企業が戦略的連携に取り組むと、どんなメリットがあるのでしょうか。戦略的連携と企業成果との関係については、多くの研究が存在します。しかしながら、中小企業の戦略的連携に対する理解は、2つの側面ではまだ十分に深まっていません。 その一つは、戦略的…
戦略的連携とDX 第2回「戦略的連携とは」
戦略的連携は、分析者によってこれまで様々な定義がなされており、必ずしも共通の認識があるわけではありません。先行研究を踏まえると、戦略的連携とは、コスト削減を主な目的とした一般的な連携に比べ、競争優位の追求をより強く意識した連携であると理解す…
戦略的連携とDX 第1回「中小企業のDXを調べてみた」
当社は、かねてから中小企業の競争戦略に関する研究を進めてきました。本シリーズでは、その取組からわかってきたこと、研究活動のこぼれ話などを紹介していきたいと思います*。 絶えず変化する経営環境のもとで、経営資源に制約のある中小企業はどうすれば…